膝から崩れ落ちた時の話
忘れもしない2016年4月17日…
私がかつての相棒ST250Eにカバーをかけなくなった日である。
遡ること半年前の4月16日。
新しい職場のに戸惑いつつも慣れ始めた春先、勤め始めて4回目の週末であった。
その日は、例のクラッチレバー折れ事件の時に後ろに乗っていた乗せてた大学の友人K柳と井の頭公園にギターを持ちより作曲大会をしていた。
その日も吉祥寺まで向かうのに使ったST250Eは、私の日頃の手厚い世話の甲斐あってか新車といっても過言では無い状態だった。
故に、駅前の駐輪所に停めた時『隣の車両が出庫の時にぶつけてタンクに傷つくのでは…』と気をもんでいたことを覚えている。
その日は風が強く肌寒い一日で、夜はレバー折れ事件のK月(当時は未だ教習所通い中)と、共通の友人S藤の2人と飲む約束をしていたので、適当に身体が冷えてきた所でK嬢と別れて帰路につき、いつものようにバイクにカバーをかけたのであった。
K月とS藤は私のかつてのバンドメンバーで、会ったらお互いの近況報告や昔の話を肴に盃を交わしながら一通り盛り上がり、その後は懐かしのゲーム大会というのがお決まりの流れで、その日も又例外ではなかった。
下戸のS藤や、外で強くなる風の音、そして振り始めた雨の音をよそに、私とK月はひたすら酒を飲み続け、対戦ゲームに夢中になっていた。
…気がついたら朝である。
私とK月は途中で潰れてしまったらしく、起きたらS藤が一人でRPGを進めている。
これもいつもの流れである。
私が重たい頭で3人分の朝食を作っていると、いそいそと帰り支度をしているS藤。
なにやら、今日は朝から予定がある様でそろそろ家を出なくてはならないらしい。
それならば見送ろうと、玄関を出て家の外の様子を見た時である。
カバーが外れていた。
雨ざらしの状態で相棒はそこにいた。
いつもはサイドスタンドを使って停めているので正面から見て右側に傾いていた。
しかし、今日は何故か左に傾いているのだ。
降りしきる雨もお構い無しでSTに私は駆け寄った。
上の写真にも写っているのだが奥にブロックで出来た壁がある。
あそこの奥の土の所にハンドルは刺さっていた。
そして、後ろにつけた大きなGIVIのパニアケースはブロック塀にもろにぶつかっていた。
しかし、そのおかげで完全に倒れきらずに済んでいたようである。
荷物を雨から守るだけでもなく、バイクも守ってくれたGIVI!
雨ざらしになって、ハンドルは土まみれ、パニアケースに傷がついたとしてもマフラーもボディも全く傷なし!奇跡がおきた!
安堵しつつ車体を起こそうとSTのハンドルに手をかけた時、私は少し違和感を感じた。
ハンドルが車体を支えているはずなのに左右に動くのである。
パニアケースとハンドルによって支えられてるのであれば、倒れている状態でハンドルを掴んでも可動しないはず…。
それもそのはずである。
支えていた場所がガソリンタンクだったのだから…。
この時、本当に雨の中膝から崩れ落ちた…。
そして、私はこの日からST250Eにカバーをかけなくなった。
スラム街の様な駐輪場に停める事も躊躇なくなったのである。
要は雨で濡れたバイクのカバーが風にふかれてパラシュートとなり、そのまま右側に倒れ込んでしまったということである。
前輪と後輪にカバーを挟み込んでいた洗濯バサミは何も意味をなさかなったのだ。
…それから半年がたった。
今ではかつてのバイクのあった場所にオレンジ色の車体が止まっている。
シェルター付きでな!
しかも壁の高い方に固定してな!
大家に許可取ってないけどな!!
…はい、Komine AK-103 Motor Cycle Domeを買いました。
開くとこんな感じです。
そして、閉じる時はこんな感じです。
なんでST250Eが写真に使われているって?
納車された日から使えるように納車の前の週に買って組み立てて置いたからだよ!
これで無敵。
ちなみに、雨の日でもカバー自体がバイクに直接張り付かない為、多少の雨漏り(結露による水滴?)はあれど本体は全く濡れません。
凄いぞコミネ!(ウェアは一着も持ってない。)